アルゴリズムは感情的知性に優れている機能ではないが、前回の記事で紹介した声での会話による人間の行動に関する信号を研究しているアプリケーション”Cogito“は、企業で働く人々や精神患者をモニターに会話をする上での改善方法を研究しているところだ。
そして情緒反応を示す事や、話し手に活力を与えるような聞き手、感情移入の表しや話すスピードを変える事によりAIに感情を埋め込めるのではとの研究結果が出た。
だがもちろんそれだけではなく、自然かつ効率的な情の入った会話方法をAIに教えていくのはそれよりももっと複雑な工程になっていくであろう。
感情的知能
上記に記載したように、Cogitoの研究は私たちの感情を理解しアルゴリズムに感情を教え込むにあたり人間の会話を深い意味でのニュアンスをつかめる事は間違いないであろう。
彼らの研究でわかっている事は、同情やエナジー、会話をする上でのちょっとしたストレスなどといった感情はある一定の特徴と声のトーンにより起こっている事がわかった。それを兼ね備えたとしてもAIが人間としっかりとした会話ができるようになるのは、全く別問題のようだ。
ロボットのカスタマーサービスを想像してほしい。彼らとの会話はどこか堅苦しくて、ときにノンセンスで会話をしているといった本当の意味での繋がりを感じられる事は難しいと言えるだろう。
Artie という企業はインテリジェントアバターをより自然でフレンドリーなルックスにすることを可能にしたエージェントだ。彼らのソフトウェアはセレブやインフルエンサーなどの有名人の顔をベースにアバターを作り、シェアできるサービスとなっている。
また、彼らによればアバターには感情があり、物や世界観を理解しており通常のボットやデジタルアシスタントなどとの会話は数秒がいっぱいいっぱいだが、Artieのアバターとは5分以上の会話が可能で、遥かにコニュニケーション能力に優れているようだ。
人口人格
AIに人格を与えるというのは斬新で課題となってくるのは機械に必要な臨機応変な対応だ。
ArtieのクリエイターKirwinはアバターはエンターテインメントにおけるキーとなる存在になるであろうと語った。そしてバーチャルインフルエンサーの未来・進化系とも言えるであろう形の人工インフルエンサーの話にも触れた。
Kirwinのシステムを使って作られたアバターは、作成後すぐにハイパーリンクでシェアをする事ができ、便利な仕組みになっており彼のシステムは我々が考えるAIとのコミュニケーションの常識を覆すであろう。
そしてほとんどの人々は将来AI=私たちと会話をし歩き回るロボットだと思いがちだが、現実的に今の技術で作られた場合ロボットはコストがかかりすぎてすぐに起こりうるような事ではないとも指摘した。
人々はソーシャルメディアやバーチャルの世界のようなデジタルな環境を好む事がわかっている2019年、AIを使った顔つきの、情もある人間味のあるバーチャルカスタマーサービスなどAIエージェントたちにはもってこいの事業かもしれない。
感情的なAIへの道のり
情緒のあるAIについては賛否両論の意見が交わされているが、アルゴリズムに自然な会話力や感情のシグナルを学ばせる専門のAIを作るということは、分かる人にしかわからない分野のようだ。
上記で紹介したCogitoのシステムを使うことにより細かい感情やコミュニケーションをする上での知識を組み込み、Artieのコンピュータービジョンアバターを使い自然な言語力や繊細な感情を取り入れる事は確実に今の状況で可能と言えるであろう。
アルゴリズムが人間の感情の状態ををマスターしたら、我々はどう”人工の感情”を区別するのであろうか?また、その発見がまだ知らぬ私たち人間自身の発見になり得るかもしれないと思うとかなり興味深い分野だ。